フィリップ・スパークという作曲家
吹奏楽とブラスバンドの両方で大ヒット!
フィリップ・スパーク(Philip Sparke 1951~)というイギリスの作曲家がいる。
日本では吹奏楽の作曲家として誰もが聞いた事がある名前であり、指揮者としても日本のプロやアマチュアの楽団の演奏会で何度も客演指揮をつとめている。
ドラゴンの年、宇宙の音楽、オリエント急行、ジュビリー序曲、ハイランド讃歌組曲などなど、吹奏楽でも代表的な作品をざっと挙げると演奏会のレパートリーやコンクールの自由曲などでお馴染みの名前がまだまだ出て来る。
しかし、これらの作品は全て吹奏楽編成のために作曲されたものではない。
吹奏楽の作品として有名なスパーク氏のこれらの作品たちは、実は前回の投稿で書かせて頂きました英国式金管バンドのための作品として作曲され、後に作曲家自身の手により吹奏楽用に編曲されたものなのです。
もちろん、ウィークエンド イン ニューヨークの様に最初から吹奏楽編成のために作曲された作品も数多く存在するのですが、同じ作品がブラスバンドでも吹奏楽でも数多く演奏されているという事はやはり彼の作品の持つ魅力にその理由があるのでしょう。
吹奏楽からブラスバンドへ!
彼の吹奏楽作品で「The Unknown Journey(知られざる旅)」というとても興味深い作品があります。
この作品は2014年に日本の関西学院大学吹奏楽部の委嘱で吹奏楽作品として作曲されたのですが、これまで紹介したものとは逆の経路を辿り、2016年にCory bandのヨーロピアンチャンピオンシップの自由曲のためにブラスバンド作品に編曲され「Raveling, Unraveling - In search of 'La Valse'(ラヴェリング,
アンラヴェリング - イン サーチ オブ 'ラ ヴァルス')」と曲名も変更して新しく生まれ変わりました。
この2つの作品はフランスの作曲家モーリス・ラヴェルの作品「ラ ヴァルス」のモチーフとそれを変容したものが用いられた同じ部分を持つ作品なんですが、面白いのがそのまま書き移されただけではなく、内容が少し変更されて吹奏楽版では無かった部分がブラスバンド版には加えられ(ブラスバンド版に無い部分も吹奏楽版にある)、11分程の演奏時間だったものが17分の長さを要する作品に華麗に変身しています。
ちなみに師範代は、変更が加えられてラヴェル色が強くなって生まれ変わったブラスバンド版「Raveling, Unraveling」の方が好きです!
是非そんな豆知識を頭に置いて聴いてもらえるとまた違った面白さや発見があるでしょう。
吹奏楽版:The Unknown Journey
The Unknown Journey - Philip Sparke | Bläserphilharmonie Aachen
ブラスバンド版:Raveling, Unraveling - In search of 'La Valse'
Manger Musikklag - Raveling, Unraveling [Philip Sparke] - NM 2018
陽はまた昇る
というタイトルの彼の吹奏楽作品があります。
この作品は私たち日本人にとって忘れることの出来ない2011年3月11日におこった東日本大震災の復興支援のために出版され、スパーク氏の意向で作品の印税はすべて日本赤十字社に寄付されています。
既にブラスバンドのために作曲されていた作品「カンティレーナ」を吹奏楽の作品として編曲し、吹奏楽が盛んな日本を彼の作品で応援すべく「陽はまた昇る」というタイトルの作品として広く親しまれ、今も世界中で演奏され続けています。
本当に美しく溢れる生命力を感じる作品です!
フィリップ・スパーク指揮/シエナウインドオーケストラ:陽はまた昇る
陽はまた昇る The Sun Will Rise Again / Philip Sparke
陽はまた昇るの元になったブラスバンド版:カンティレーナ
こうやって吹奏楽とブラスバンドと作曲家という関係性を結びつけて作品や作曲家について理解していくということは非常に面白い。
この様にして沢山の人に色んな音楽に親しんでもらいたいと願う師範代でありました。
みなさん外出を自粛しているこの時期に是非自宅でこういった音楽の楽しみ方をしてみて下さい!
あ、そうそう。
実はスパーク氏作曲のテューバ協奏曲も存在します。
テューバの音色やテクニックを駆使して幅広い音楽表現を求められる作品です。
この作品はテューバ奏者でもありミラフォン(師範代も愛用する楽器メーカー)の前CEOマルカス・タイネルト氏の委嘱により作曲されました。
本当に美しい曲なので是非聴いてみて下さい!
で、自分の演奏聴かせるんか〜い!(笑)
Tuba Concerto / composed by Philip Sparke
という訳で、今回は初めて一人の作曲家の作品にフォーカスしてブログを書いてみましたが、安定の2000文字オーバー(笑)
もうちょっとサラサラっとお茶漬けの様に読める投稿にしたいもんですね。
出来るだけ継続して毎日投稿したいのでもう少しあっさりいこ(笑)
#StayAtHome
不要な外出は控えて自宅で音楽を楽しみましょう!
ぱちんこは我慢してね〜
ではまた!
熱い熱い想い 〜ブラスバンドが好き〜
英国式金管バンド(ブリティッシュスタイルブラスバンド)
たまには師範代のYouTube動画の話から少し逸れて違う話題を書かせて頂きます。
そういう時は基本的に自分の好きなものしか話に出て来ないので熱苦しい投稿になる気しかしませんが、是非寛大な心で受け止めて下さい(笑)
さて、既によくご存知の方には申し訳ありませんが、
見出しにもあります英国式金管バンドという一つの確立された音楽のジャンルが世の中には存在します。
日本では吹奏楽が盛んですので、なんとなく吹奏楽のことをブラスバンドと呼んだりすることもあるかと思いますが、基本的にブラスというのは金管楽器の総称ですので、ブラスバンドとは金管バンドのことを指します。
その名の通り金管楽器がメインでそこに打楽器が数名加わるのですが、英国式金管バンドはトランペットの代わりにコルネット、フレンチホルンの代わりにテナーホーン、が使われ、上から順番にいくと…ほら、全部説明しようとしてる!
熱苦しいって!
もうちょい軽くいこうや。
なんせ自分の好きなものはみんなにも好きになって欲しいので一生懸命解説してしまいがちで、毎回2000文字越えたりしてますからね。
今回は1000文字以内に収めることが目標!
という訳で、金管バンドの説明はコチラをご参照下さい(他力本願!笑)
熱くて美しくてエネルギッシュ!命がほとばしってるんです!
Wikiさまリンクに説明を助けてもらってても熱苦しくなること必須!
師範代をそこまで熱くさせるブラスバンドの魅力とは何か!
それはね、まじで聴いてもらわないと伝わらないかもしれません。
とにかく聴いて!
こないだも出て来ましたよね?師範代の迷言!
「百読は一聴に如かず!」
という訳で今日はもう文章はここまで!
あとは師範代の「頼む!コレ聴いてくれ!」っていうのを、ゲイリー・オブライトのキラースップレッス並みに投げっ放しにしておきますので是非お楽しみ下さい!
あ、チョイスはあくまでもブラスバンドを初めて聴く人に今の師範代の気分でチョイスしたオススメですので「なんでコレ出さへんねん!もっとええのあるやろ!」的なみなさんのオススメは、是非コメント欄で師範代に教えて下さい!
Philip Sparke - The Year Of The Dragon ( EBBC 1992 )
Cory A Brussels Requiem British Open 2018 Winning Performance
Sparkling Brass OCB World Premiere
コッソリ師範代が指揮してる大阪コンサートブラスの演奏も入れとこ。
たぶんみんな通り過ぎるやろ…。
【Cory Band】Breath of soul【P.Lovvat-cooper】
という訳で今回は師範代の好きなものをお伝えする投稿にしてみました。
少しでも皆さんにブラスバンドの魅力が伝わると嬉しいです!
是非また色々と聴いてみて下さい!
最後の「Breath of Souls」はコロナ騒動が始まってからずっと聴いています。
しかもこのCory Bandの演奏が本当に好きで、毎回涙が出ます。
やっぱり音楽って良いですね!
一日も早く収束の日を迎えて、コンサートホールでみなさんと音楽の感動を共有出来ることを心の底から願っています!
ですので、不要な外出は控えて我々でコロナを収束させましょう!
#StayAtHome
そして、最後にもう一言。
コレがゲイリー・オブライトのキラースープレックスです!
(ゲイリーオブライト キラースープレックス)Gary Albright Killer Suplex
危ないので良い子はマネしないで下さい!
ではまた!
おみしー師範代のしばらく練習でもしてみよか〜!その2 〜バズィングを考える〜
youtu.beおみしー師範代のしばらく練習でもしてみよか〜!vol.13
「楽器が無くても自宅で出来る練習を全力で考える!!」
練習がしたい…でも楽器がない
新型コロナウィルスの影響で長期間の休校が続き、春を迎えても新学期を始めることも出来ない今の状況で全国の学生の皆さんは本当に辛い日々を過ごしていることでしょう。
もちろん、それ以上に学校関係に勤務される方々はもっと毎日大変な思いで過ごされている事とお察しします。
師範代自身が音楽家であり、吹奏楽の指導者としての一面を持つ、という事もあり、部活動としての吹奏楽部の「これから」をとても気にしているのですが、「これから」を考える前に先ず「今」を見る必要がある。
SNS等で多くの投稿が目に止まり、実際に生徒たちとのやり取りの中でも多くの生の言葉が突き刺さるのだが、特にテューバという楽器の性質上、自分の楽器を持っている学生の方が稀であり、自分のマウスピースを持っているという学生の数もそこまで多くはない。
殆どの学生が「練習がしたいけど楽器がない」「楽器もマウスピースも手元に無い」と言う状況で、何も出来ずにじっと堪えているのだ。
本当に何も出来ないのだろうか?
ふと頭の中で生まれた残像がやけに残った…
「本当に何も出来ないのだろうか?」
ひょっとしたら「何も出来ない」のではなく「どうしたら良いのかわからない」のではないだろうか!
冷静に自分に置き換えて考えてみた。
普段でもオケの仕事が降り番で、吹奏楽指導の仕事が忙しい時期など、気が付いたら数日間テューバを吹けていない時もある。
そんな時はどうしてる?
自分の中では生活の一部で気がつかないくらい当たり前の状況になってしまっているが、無意識でバズィングの練習をしている。
ご存知ない方のために簡単に説明すると、金管楽器は演奏する際にマウスピースに唇を当て、空気を流すと同時に唇を振動させて音を鳴らす。
そのことをバズィングと言うのですが、自分を振り返ってみれば、ずっとバズィングをしている事に気がついた。
移動中の車の中でも常に赤信号で止まるとマウスピースを吹いていて、車を走らせてる時は軽くフリーバス(マウスピース無しで唇だけで振動させる事)をしている。
全国の楽器が無い子たちにテューバを買い与え、マウスピースを配布する、といったアラブの石油王クラスの振る舞いは恐らく3万回生まれ変わったとしても出来ないだろうが、「どうしたら良いのかわからない」と悩んでいる子たちに師範代がいつもやっている事を伝えてあげるくらいの事なら3万回生まれ変わって石油王にならなくとも今の師範代にも十分出来るではないか!
しかもアラブの石油王だとアラビア語だから日本の学生たちには伝わりにくいけど、師範代ならまだ多少は日本語で伝えられるはずだ!
そう気付いた時には自宅の防音室でツイキャス配信の準備をしていました。
前触れなしでいきなり始めたその日のツイキャスも合計2時間程の配信で延べ100人近くの人が視聴してくれていた。
いつもはテューバを吹いてロングトーン等の基礎練習を中心に配信しているが、この日は一切テューバを吹かずに配信し、マウスピースを用いたバズィングの練習と、何も無くても出来るフリーバスの練習のみに重きを置いた。
思いの丈を余すことなく全てぶちまけて配信を終了し、編集しながら考えていた。
頭の中で生まれた残像はなんだったのか…
「本当に何も出来ないんでしょうか?」
「今の状況で自分に何が出来るのかをまだわかってないだけなんじゃないでしょうか?」
そう綴られた手紙、それが残像として残っていたのかもしれない。
師範代が入試を受けた頃はまだ入学条件が厳しかった某大阪の音楽大学の入試。
思った様な点数が取れなかった師範代は、始めは短大生として入学し、短大卒業と同時に3年次編入試験を受け、無事に同級生たちと4年間で卒業したという学歴を持つ。
頑張って編入試験に受かった直後、大学でオーケストラ専攻生を別の校舎に移動させる計画が決まり、もしそこに移動となると今まで校舎内の廊下や中庭でいつでも自由に練習出来ていたものが、いちいち部屋を借りないと練習出来なくなり、しかも一日一人一時間半という制限が設けられた。
そこで師範代はその悔しさと怒りを書き殴った手紙を実家の母上に送りつけた。
大まかな内容はこうだったと記憶している。
「音楽を勉強するために一生懸命編入試験をパスしたのに1日1時間半しか練習出来ないなんて有り得ません!年間多額の授業料を払って頂いてるのにこんな状況で毎日ちょっとしか練習が出来ないなんてここで勉強し続ける意味がありません!お願いです。どうかこんなチ◯カス大学、今すぐ退学して海外へ留学させて下さい!」
荒ぶる気持ちを抑えつつ一応丁寧な言葉を選んで書いたつもりだが…
人生最初でおそらく最後になるであろう母への手紙である。
そして数日後、母からの手紙が届いた…
「息子よ、あなたの気持ちは良くわかりました。あなたがそう思うならそうしなさい。
だけど、あなたは本当にそれで良いと思っていますか?今の状況ではそれ以上本当に何もできないんでしょうか?
楽器が吹けない時間に出来る練習や勉強が他にもあるんじゃないでしょうか?
あなたは本当は今の状況で自分に何が出来るのかをまだわかってないだけなんじゃないでしょうか?
もしそうだとしたら母は情けなく思います。
海外に留学して今より良い環境になればあなたはプロになれるのでしょうか?
あなたが言うところのチン◯ス大学から学ぶ事は本当にもう無いのでしょうか?
そんな貧弱な発想の人がプロの音楽家になれる訳がありません。
学生の間は考える時間がたくさんあります。
じっくり考えて答えを出しなさい。 母より」
面白おかしく色付けした話でもなんでもなく、本当にこんな内容の手紙でした。
でもこの事件があって冷静になって踏みとどまった選択は正解だったと振り返ります。
この手紙は今の師範代の礎になっており、口にこそ出しませんが母上に感謝しています。
手紙やなくても電話で良かったんちゃうん?
いや、手紙だったから残像に残ったんでしょう。
ちなみに師範代の両親は音楽の「お」の字も知りません。
ホント親は偉大です。
ちなみにその頃の師範代の写真がコチラ…
と言う訳で純粋にこれからも誰かの役に立てる様な事を考えて実行して行こうと思っています。
今日書いた内容の冒頭にあるツイキャスで配信した内容を編集してYouTubeの師範代チャンネルにて絶賛配信中です!
是非、下のリンクからご視聴下さい!
youtu.beチャンネル登録もよろしくお願いします。
と言う訳で引き続き、不要な外出は控えて、ステイアットホームでお願いします!
皆様とコンサートホールで再会出来る日を夢見て!
ではまた!
おみしー師範代のしばらく練習でもしてみよか〜!その1 〜ウォーミングアップを考える〜
ウォーミングアップの線引き
楽器を演奏する者からするといつもよく耳にするこの言葉、ウォーミングアップ。
みなさんはウォーミングアップっていつもやっていますか?
内容は人によってそれぞれだと思うし、そもそも「ウォーミングアップはしない」もしくは「した事が無い」という人も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、もしもそのウォーミングアップを毎日練習の時に楽器を出して必ず実施しているとしたら、いつもその間に何を大切にしてどんな事をどれくらいしていますか?
別に「ウォーミングアップはこれだけ時間をかけてこんな事をやりなさい!」と言ってる訳ではなく、「そもそもウォーミングアップって何をする時間だと思ってやってますか?」という事を皆さんにお尋ねしたいのです。
師範代はいつもそう思っているんですが、ウォーミングアップというものの定義を 自分の中で持っているか持っていないかでその人が大きく成長する練習が出来ているかどうかが決まると言っても過言ではありません。
「ウォーミングアップの線引き」を考えることによって、どこまでをウォーミングアップと考えて、どこからを基礎練習とするかの境界線が生まれます。
それを考えると「音出し」と考えるエリアと「練習」と考えるエリアの境界線が見えて来ますよね。
そのウォーミングアップの中で「何を大切にしてどんな事をどれくらいしているか」という事。
これが「なんとなく」になっていたとしたら、少しずつで良いのでこのことについて考えてみましょう!
「考える」という行為は楽器を吹いていない間にでも出来るので練習時間を犠牲にする必要はありません。
それを考えて日々ウォーミングアップをするだけで随分効率的にその時間を使える様になり、その後の練習も同じ様に考え始めると効率良く進める事が出来ると思います。
遠足のおやつは200円まで。先生、バナナはおやつに入りますか?
という議論が子供の頃よくありました(昭和生まれあるある。笑)
さぁ、本題です。
みなさんのウォーミングアップを思い出してみて下さい。
ロングトーンはウォーミングアップに入りますか?
もしくはウォーミングアップを終えて基礎練習としてロングトーンをやっていますか?
はい、みなさんシンキングターイム!
ズンズンチャッチャッ、ズンズンチャッチャッ…ちーん!
さぁ、いかがでしょう?
もしここで「え〜、どっちやろ?」って迷ってらっしゃる人がいたら、是非コレしっかり考えてみて下さい。
せっかく考えて頂きましたが、正解はありません。
人それぞれで構いません!
こうじゃないといけない!っていうものではないと思います。
ただ、こういう事を普段から考えながら練習しているかどうかは大切だと師範代は思っています。
ちなみに師範代はウォーミングアップの中にロングトーンは入りません。
自分の中でウォーミングアップと思っている内容を済ませた後、基礎練習の入り口としてロングトーンを取り入れています。
そういった練習に対する考え方をしっかり持つだけで今練習している内容がしっかり目的意識を持って実施出来る様になって来ると思いますので、是非これを機にご自身の練習哲学を日々考えてみて下さい。
シンプルなロングトーンでも考えながら実施する事でその効力を最大限に引き出し、リップスラーやタンギング等のテクニック、高音や低音に音域を拡大する時の奏法的な発想なども、考えながら練習をすることで、みなさんのいつもの練習が飛躍的に変わります!
恩人、ロバート・トゥッチ先生の教え
師範代はドイツに留学していた時にこんな経験をしました。
ペラントゥッチのマウスピースで有名なロバート・トゥッチ先生のレッスンを受けていた師範代。
それはある日のレッスン終了後にトゥッチ先生と次のレッスン日程について話してた時のことでした。
先生「じゃあ次は来週月曜日の朝10時にうちにおいで」
師範代「わかりました。月曜の10時ですね!…あ、先生すみません。もう少し後の時間にしてもらっても良いでしょうか?」
先生「ん?なんで?何か予定があるのか?」
師範代「いえ、予定は無いんですが、先生のところに来る前にエルマーシュミットのスタジオでウォーミングアップをしてから来たいんですけど…。」
〜 当時、師範代の住んでた街からトゥッチ先生のスタジオまでは電車で約1時間、いつもレッスンの前にエルマーシュミットというおっちゃんの経営するスタジオを借りて練習してからレッスンに向かっていたんですが、そのスタジオが9時からしか開かない。そこで音出しをしてからレッスンに行こうとすると10時は時間的に無理でした。その事を説明するとトゥッチ先生は… 〜
先生「ヒロ、良いか。もし君がプロフェッショナルを目指すのならウォーミングアップをコントロール出来なきゃだめだ!電車が遅れて本番直前にホールに着いて、ウォーミングアップが出来てないからちょっと待って下さい!って聴衆に待ってもらう事は出来ないだろ?」
師範代「はい…(まぁそらそうやけど…汗)」
先生「だとしたら君はウォーミングアップというものが無くて大丈夫な様にいつでも頭の中でどんな状態でも吹けるイメージを持つべきだ。」
師範代「はい…(理屈はわかるけど、それって…汗)」
先生「良いか。朝起きて君の脳が目覚めた瞬間に君の脳のウォーミングアップは既に完了している!その状態であれば君はいつだって演奏出来るんだ!」
師範代「(こらあかん。先生別次元のこと言うてはるわ。…けど待てよ、それって理想ではあるよなぁ。今は無理って思ってしまってる自分がいるけど、そういう発想でやっていって少しでも近づけるんならやってみる価値はあるかも!とりあえずハイ言うとこ。)ハイ!わ、わかりました!」
みたいな経験をしまして、師範代はトゥッチ先生からウォーミングアップというものを考えるという機会を与えて頂きました。
もしここで師範代が「え?そんなん無理です!」ってなってたら、今頃こんな発想は持ってなかったと思うし、今の師範代にはなっていなかったと思います。
みなさんも是非ウォーミングアップというものをこの機会にじっくり考えてみてみてはいかがでしょう?
「ロングトーンはウォーミングアップに入るかどうか?」の議論が自分の中で整理がついていない方は師範代とロングトーンしながらその事を考えてみることをおすすめします。
下記の再生リストで「おみしー師範代のしばらく練習でもしてみよか〜!」の全てコンテンツを見て頂く事が可能です。
是非お楽しみ下さい!
そしてチャンネル登録もよろしくお願いします!
ステイアットホーム!
みんなで頑張りましょう!
ではまた!
Fnugg(ふぬっぐ)
テューバという楽器
それを吹いて仕事にしている者が言うのもなんなんですが、非常に面白いんです。
テューバという楽器。
小難しい講釈を垂れるつもりは無いので簡単に言いますと…
カランコロンカラン〜、コロンカランコロン〜
隊長「邪魔するでぇ!」
職人「邪魔するんやったら帰ってや〜!」
隊長「あ、さいでっか、ほなさいなら…て帰ってどないすんねん!客や、客!」
職人「なんや客かいな、それやったらそうとはよ言うてよ。見た感じも客っぽないし。」
隊長「見た感じ客っぽないてどう言うことやねん。この軍服見たわかるやろ!軍楽隊の隊長はんや!隊長はん!」
職人「自分ではんつける人初めて会ぉたわ。…んでその隊長はんがワテに何の用ですの?」
隊長「ほれ、あの〜トランペットとかトロンボーンとか、外で吹いてもバンバン聴こえるやん!低い音の楽器であんな感じのでけへんの?」
という小芝居があったか無かったかは別として(確実に無いやろ。笑)
ドイツの軍楽隊の隊長さんが楽器工房でそうやってゴネて出来た楽器なんです。
…でもだいたいそんな感じなんです。マジで。
で、ようやく皆さん良くご存知のマーチでブッブッって吹く低音を担当する金管楽器、テューバが誕生したんです。
良いんです、だいたいで。
知らない人に興味を持ってもらう事の方が大事なので。
ここは入り口で良いんです(笑)
ハッピーバースデーテューバ!!
しかもね、テューバは誕生日まであるんですよ!
1835年9月12日、これマジです。
なので今185歳です。
厳密に言うと、生まれた日ではなくて特許出願した日なんだそうです。
でもね、世界中のテューバ吹きの人たちは9月12日になるとSNS上で
Happy birthday Tuba!!
のメッセージが飛び交うんです。
みんなテューバが大好きなんですね。まぁ師範代も含め(笑)
当時のテューバを吹いてた人たちが、今のこの世界のテューバのレベルを見たらどう思うだろうと時々思うんですが、テューバという楽器としてのクオリティも近年ものすごく発展を遂げ、それに伴って世界中のテューバ奏者たちのレベルも格段に発展していきました。
そこっていつもセットなんですよね。
楽器が良くなって奏者のレベルが上がる。
奏者が上手くなって更に良い楽器を求める。
それに作品の中で奏者に高いレベルを要求する作曲家たちの存在も加わり、三つ巴でどんどん水準が上がっていきます。
その結果、伴奏を担当するために生まれて来た楽器がメロディを吹くといった怪奇現象が生まれ、さらにもっと楽器を吹きながら歌ってみろだのそれで和音を作れだの、チャカポコやってみろだの…ヘンテコリンな事をやり始めて路頭に迷った結果、面白い曲や演奏がたくさん生まれてしまった。←いまココ。
な訳であります。
今日はそんなヘンテコリンだけどスゲー!おもろー!
みたいなテューバの作品を1つご紹介させて下さい。
ノルウェー出身のテューバ奏者でテューバのソリストとして名高いオイステン・ハーズヴィックさん(←お名前の読み方に諸説あるのですが、正式なお名前は Øystein Baadsvik)という方がいらっしゃいまして、師範代が思うにそのバーズヴィックさんが楽屋とかで遊びでやってたら周りの人に「それええやん!おもろいやん!」って言われて遊びまくってたら出来てもた的な曲ちゃうかなと思ってるんですが、彼が作曲した「Fnugg(フヌッグ)」という曲がありまして、これがまた面白いんです。
まず通常は唇が振動して音を響かせるので音は1つしか出ないんですが、声を使って音を2つ響かせるマルティフォニックスという日本語では重音奏法というテクニックでハーモニーを作ったりしながら演奏して、途中でリップパーカッションという唇と舌を使ってボイスパーカッションの声じゃないバージョンで打楽器のようなビートを演奏します。
で、そうこうしてるとリップパーカッションでビートを演奏しながらさっきまでやってた重音奏法も混ぜちゃって「みっくちゅじゅーちゅ」みたいなことになるんです。
でもね、これがおもろい!
まぁ、あーだこーだ言われるよりも百聞は一見に如かず!
あ、この場合は百読は一聴に如かず!ですね。
それではお楽しみ下さい。
師範代の演奏で「Fnugg(ふぬっぐ)」です!
って本家のバーズヴィックの演奏とちゃうんか〜い!(笑)
だってね、自分のブログで人の宣伝してもしゃあないでしょ?
ていうかYouTubeにアップしたからみんなに聴いて欲しかっただけなんです。
悪気は全くなかったんですぅ〜うぅぅぅ、うぇぇぇ〜ん。・゜・(ノД`)・゜・。
という訳で今回はだいぶおかしなキャラで投稿してみましたが如何でしたでしょうか?
まだまだ緊急事態宣言は続きますが、どうか皆様ご無事でお過ごし下さい。
そのために師範代は日々YouTubeのコンテンツを頑張って増やしているのでございます。
よろしければチャンネル登録も宜しくお願いします!
是非、不要な外出は控えてご自宅で師範代の動画を見ながら笑顔でお過ごし下さい!
ステイアットホーム!
みんなでがんばりましょう!
ではまた!
我がオケ「大阪交響楽団」 〜いま師範代に出来ること〜
大阪交響楽団というオーケストラ
師範代が1999年から在籍しているオーケストラ、大阪交響楽団。
よく考えて見るともう入団して21年目。入団当初はもちろん一番若手だった師範代も今となっては古株に数えられます。
今では大阪交響楽団(大響)という名称も定着して来ていますが、師範代の入団当時は大阪シンフォ二カーという名称でした。
ご存知ない方のためにも少し我々のオーケストラの紹介を。
師範代の所属する大阪交響楽団は1980年に当時一般の主婦だった敷島博子さんの手により創立されました。
まずこの段階でびっくりしませんか?
普通の主婦がオケ作ります?
「音大や芸大を卒業した優秀な音楽家がたくさんいても食べていけなくてみんな可愛そうやから私がなんとかしてあげたい」って1つのプロオケ作ってしまったんです。
今これ書きながら改めてホンマに凄いエネルギーを持った人やったなぁと博子さんの事を思い出してます。
残念ながら去年5月に急性心不全のためお亡くなりになってしまいましたが、本当にあったかいみんなのお母ちゃんでした。
www.asahi.comそのお母ちゃんが一人で作らはったオケなんです。
彼女がいなければ僕らもいませんでした。
師範代が99年に入団して2年後の2001年に大阪シンフォニカーから大阪シンフォニカー交響楽団へ改名。
当時事務局長が冗談かもしれませんが「営業で電話かけて大阪シンフォニカーですって言うたら、カーって付いてるから車の営業とよう間違えられててん」って言ってました(笑)
文化庁の支援事業助成を得て2002年にはルーマニア、2003年にはベトナムに海外公演も実現し、2009年には文化庁芸術祭大賞を頂きました。
翌2010年に創立30周年を迎えて名称を今の大阪交響楽団に改称。
そこから10年が経った今年、創立40周年を迎えたお祝いの年なのであります。
ざっとご紹介しただけですが、一人の主婦が立ち上げたオーケストラが在阪のプロオケが既に活躍している中で地道な活動を続けて40年!
凄まじい生命力だと思います!
しかしながら、その我がオケ、大阪交響楽団も今回の新型コロナウィルスの影響を受け、3月初旬から全ての公演がキャンセルになり、今で1ヶ月半。
もちろん4月の仕事は全て無くなり、5月6月にギッシリ詰まっていた公演も毎日の様に事務局からキャンセルの連絡が入りどんどん白紙になって来ています。
この状態が続けばどんなに母体がしっかりした団体でも運営は傾き、必ず存続の危機に面します。
特に我々の様な安定した基盤がある訳ではないオーケストラの場合は時間の問題です。
師範代から皆様へのお願い
そこで、このブログを読んで下さってる皆様に師範代からのお願いがございます。
我々、大阪交響楽団は皆様方にご寄付によるご支援をお願い致しております。
フレンド会員として一口3000円からのご寄付が可能となっています。
お申し込み頂きました方には4つの特典もございます。
どうか下記のリンクから一度ご覧になって下さい。
ご覧頂きありがとうございます。
ちなみに、このご寄付のお願いはオーケストラ事務局から団員に向けて「SNSなどでシェア拡散して下さい」とは言われていません。
オケの事務局が我々団員を守るために我々に言わないで必死でやってくれてることなんです。
恐らく楽団の母、敷島博子さんの強い意志を引き継いだ大阪交響楽団事務局のエネルギーだと師範代は思っています。
事務局は皆様からご寄付頂いたご支援を「全額楽団員の人件費として活用させていただきます」とサイトにもお伝えしていますが、逆に非力かもしれないけど40歳を迎えたばかりのこのオーケストラを師範代は守りたい!
いま師範代に出来ることはこんなふうにSNSやブログに投稿したり、YouTubeの動画を使って皆さんにお願いしたりする事ぐらいしか出来ませんが、それでも一人でも多くの方々にこの気持ちが伝わり、一人でも多くご賛同頂けますことを切に願っています。
それと同時に、どうか皆さんも健康でいて下さい。
まだ先になるかもしれませんが、必ず収束の日はやって来ます。
時が来てまた皆さんにお会い出来た折には精一杯の感謝の気持ちと想いを込めてまた全力で奏でます。
そこには博子さんも必ず来てくれることでしょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
心から感謝します。
ではまた!
ブラックボトムブラスバンド
" When The Saints Go Marching In "「聖者の行進」/ブラックボトムブラスバンド with おみしー師範代
という名前のバンドを知ってますか?
音楽愛好家の方からするとブラスバンドという名前を見ると英国式金管バンドを想像するかもしれませんが、ブラックボトムブラスバンドはニューオリンズスタイルジャズのブラスバンドです。
ブラスバンドと言っても編成にはトランペットやトロンボーンなどの金管楽器に加えて木管楽器のサックスなども入り、低音はスーザフォンが担当、そこにスネアドラムとベースドラムがリズムセクションとして入る独特なスタイルのブラスバンドです。
日本ではこういった編成で活動しているバンドは少ないのですが、ブラックボトムブラスバンドはその草分け的な存在と考えても良いと思います。
当時大阪音大の学生だったリーダーのヤッシーを中心にダーティーダズンブラスバンドなどを真似て大阪音大の学生だった数名とプラスαといった8人のメンバーで結成。
ストリートでの活動をメインに関西を拠点に活躍していましたが、ライブハウスでの活動やCDのリリースを経て人気上昇とともに活動拠点を東京へ移し、今も日本全国津々浦々を飛び回って活躍しているブラスバンドです!
そのブラックボトムと師範代がなぜ?
と思う方もいるかもしれませんが、実は師範代、ドイツ留学から帰国した1996年頃から3年間ほどブラックボトムブラスバンドで一緒に活動していた時期があったんです。
師範代がオケに入団するのと時を同じくして彼らも拠点を東京に移すことになり、その直前にトロンボーンのヤッシーが当時神戸で指導していたボーイスカウトの楽隊でスーザを吹いていた現メンバーのタモツがメンバー入りしましたが、その間、師範代も一緒にストリートで演奏したりライブやCDの収録も参加しています(Dr.Kyonさんとのコラボアルバム『デンジャラスホイソース』はでは師範代がスーザ吹いてます。←激レア情報!)
聖者の行進
その古巣ともいえるブラックボトムブラスバンドが数日前にYouTubeにアップしていた各メンバーがそれぞれに撮影したものを合わせて作った聖者の行進の動画をたまたま見つけ、彼らに許可をもらってその動画に師範代がアフレコで動画に参加してコラボ動画を作成!
最近ずっと師範代が口にするソーシャルディスタンシングパフォーマンスでブラックボトムブラスバンドとの共演を20年の時を経て実現させたのでした!
シンプルだけどガツンとくるビートで音楽に詳しく無い人でもずぐにパフォーマンスに参加して楽しめる。そんな魅力を持った彼らのパフォーマンスと師範代の共演、どうぞお楽しみ下さい!
今回はちょっとゆるいタッチの文章にしてみました。
こっちの方が読みやすいかな?
ではまた!