ポジティブスパイラル!

大阪交響楽団テューバ奏者、潮見裕章のブログです!

ソーシャル ディスタンシング パフォーマンス(Social distancing performance)


"ROMANZA" from Cocerto for bass tuba / R.Vaughan Williams (Social distancing performance)

奏者の距離

昨日は書き過ぎたので今日は短めに…

スーパーで支払いのレジに並ぶ時、足元にテープが貼られるのを目にする様になった。ある一定の距離を保って並び、感染を防ごうという働きだ。距離をとって並んでるのに後ろから買い物かごでグイグイと詰めてくるおばちゃんにはでもかましてやれば良い。

おっと、育ちの良さが言葉に現れてしまったが、今日はそんな下品な話を書きたかったのではない。楽家の距離について話したかったのである。

オーケストラや吹奏楽の様に大人数の合奏体ではもちろん沢山の奏者同士の距離が存在する。例えばオーケストラのファーストバイオリンの最後列にいる人と、テューバとの間にはステージの端と端ほどの距離がある。トロンボーンファゴットはひな壇1段ぶんの高さの差はあれど前後に座っている関係上、セッティングの位置が悪ければファゴット奏者はトロンボーン奏者のスライドが容赦なく背中を襲う。そのトロンボーンの後ろにはティンパニが鎮座し、ブルックナーなどの最終楽章のクライマックスでフォルテッシッシモでトレモロでもされた日にゃ他の音など一切聴こえない中で演奏しなければならなくなる。オーケストラ奏者たちのいざこざの種の話をしているのではない。それが奏者の距離なのだ。そのたくさんの距離が存在する中で我々はアンサンブルをして音同士を紡ぎ合う事を仕事としている。

在宅勤務中の奏者たちの距離

一方、今の我々の距離はどうだろう。それぞれの奏者は自宅で在宅勤務という名のロングバケーション中のため、演奏する仲間は前後左右にいない。要するに音出しをして練習をしていても一人なのでずっと個人練習をしているのだ。もちろん普段から個人練習はする。しかし今のこの状況では何のために一人で練習をしなければならないのか?考え込んでしまい、メンタルをやられてしまいそうになる人も少なからずいることだろう。それだけ奏者の距離は必要なのである。

ソーシャル ディスタンス

という言葉を最近テレビなどで耳にするが、我々は元来その距離を詠んだりコントロールしたりして演奏する人種なので、間合いを取ったり詰めたりするのは得意なはずなのだ。しかしその距離間合いは周囲に誰かが存在して成り立つ。もしも今の様な状況が更に続くとどうだろう。感覚も鈍る可能性だって有り得るし、第一それが無い事を寂しく感じるのではないだろうか。誰かの音と距離を感じたい。そう思っているのは我々プロ奏者だけではないはずだ。

そんな事を考えていた時にふとSNS上で友人の投稿が目に入った。伴奏ピアニストとして活躍するその友人がYouTubeにピアノ伴奏を録音した動画を公開し、知り合いの奏者たちに是非活用して欲しいと伝えている投稿である。URLをクリックしてみると師範代の愛するR.Vaughan Williamsの作曲したテューバ協奏曲の第2楽章「Romanza」だった。

とっさに考え、友人にこの動画と共演した動画を撮影させて欲しいとメッセージを送ると間髪入れず快諾の返信があった。衝動的に撮影の準備をしてザッと一回だけその伴奏動画を見ながら演奏をしただけ、ワンテイクだけ撮っただけだったが、彼女とはこの曲を去年の秋に一緒に演奏した経験があったので、ごく自然に自分のペースで演奏が出来た。そのままPCで2つの動画を合わせ、二人の共演動画がほんの数時間で出来上がったのだ。(この記事の最初に貼り付けてある動画)

是非聴いて欲しい!

演奏者同士、実際の距離は無い。過去に演奏された彼女の動画を聴きながら演奏しているので時間軸も既にずれている。しかしながらそこには確実に音楽家同士の距離を感じて演奏している自分がいた。相手の息遣い、音楽運び、ため、高揚感…アンリアルな空間にリアルを感じ、そしてその演奏は見事なまでにリアルを導き出したのだ。

誰かと一緒に演奏出来ていない間はこの距離が無くなっているのではなく、常に人との距離は存在し続けているのだ。そう、リアルにもアンリアルにも。

近くに住んでるけどなかなか会えていない友人がいる。海外に住んでて何年も会っていない友人。多忙な友人と全く会えないけどたまにメール会話を楽しむこともある。既にあっちの世界へ先に旅立ってしまい、連絡をとることすら出来ない友人も。

実際に隣にはいないけれどその人の事を想うたびに自分の中で我々は感じているのだ、その人との距離を。

音楽をするからそう感じるのではない。

人はみなその距離を感じながら生きている。

そんなこんなで結局今日も長なったやんけ!(笑)

でも大事な大事なことを感じる事が出来た一日でした。

今日もポジティブスパイラル!

 

ではまた!

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音楽家の近未来を考える


Let's 師範代チャンネル!(25秒のチャンネル紹介用ムービー)

楽家、オーケストラの現状

COVID-19の野郎がだいぶ調子乗って幅利かせてくれちゃってる今日この頃ですが、ぶっちゃけ我々音楽家という生き物(特に人と一緒に奏することを生業としているアナログなジャンルのミュージシャン)たちは、今まさに開店休業中という言葉が一番ぴたりと来る職業となってしまった。

師範代の所属する大阪交響楽団も2月末から以来公演がキャンセルになり始め、3月前半にあった主催公演をなんとか開催に漕ぎ着けてから、ほぼ全ての公演がキャンセルになり、現時点でも先々予定していたオーケストラの公演のキャンセルの連絡が毎日の様に入って来ている。こればっかりは仕方ない。

もちろん演奏する我々はその機会を奪われる辛さを今はじっと耐えるしかないのだが、オーケストラを運営するために血眼になり駆けずり回って仕事を取って来て、ホールをおさえ、指揮者の予定を確保して依頼元と山の様に打ち合わせをし、フライヤー作りから楽譜の手配やチケット販売に至るまで、我々演奏者がリハーサルで音を出すまでに数え切れない程の工程を組み上げてくれている事務局スタッフの面々の気持ちを考えると本当にやり切れない。

一生懸命時間をかけて作って来てようやく完成が見えて来たジグソーパズルを土足で家の中に入って来た姿の見えない奴にバッラバラにされ、それでもまたピースを拾い集めて少しずつ合わせて行ってる最中にその上で納豆カレーライスをひっくり返される様なものだ。それでも彼らはそのカレーと納豆にまみれた中からまたピースを一つずつ拾い集め、我々オーケストラのメンバーに演奏の場を作ろうとしてくれてるのだ。文章を打ってて我ながら上手いこと言うなぁとほくそ笑んでるのに涙が出そうだ。チキショー(笑)

そういった状況に対してなんにも出来ない無力さを我々は今痛感しつつも指をくわえて毎日連絡が入るたびに予定表にえんぴつで線を引いて消す作業を繰り返す。それが日々の日課となった。

楽家の在宅勤務とは

しかし、師範代はあまりネガティブに捉えてはいない。実際に納豆カレーひっくり返されたら黙ってないかもしれないが、そういう意味じゃない。この地獄の様な状況でも実は災い転じて福と為す的な要素を見つけられるのではないかと考えている。

実際にこうやってブログを開設して、何人の人が見てくれているかわからないが、誰かに何かを伝えようという普段であればステージの上から客席に向けてオーケストラの仲間たちと一緒にやってる行為を、自宅で一人で誰かに何かを伝えようとし始めている。

もしここで今まで師範代のことも大阪交響楽団のことも知らなかった人がこのブログを読んで興味を持ってくれたとして、オケのメンバー全員がそういった発信をし始めたとしたらどうだろう。事態が収束して公演を打てるようになった時、その人たちがコンサートホールに来場してくれると考えると、少なくともボロボロにされっぱなしの姿ではなく、多少は明るい未来が見えるのではないかと師範代は考える。まさに災い転じて福と為す

そう、ピンチはチャンスなのである!

仕事が無くなった…と家で愚痴ってヤケ酒あおってても何もプラスな方向には進まない。転んでもタダでは起きない!の精神で、ブログを書いたりYouTubeで配信してみたり、こうして音楽家の在宅勤務という新しいジャンルを日々模索している。

楽家の近未来の仕事

悲観的に捉えるのではなく、一握の期待を含んだ師範代なりの観測だが、おそらく今まで通りには戻れない。当たり前の様に行ってた演奏会も、たくさんの人と一体になる感覚がたまらなかったイベントやライブも、今後事態が収束してからも何かしら気を配り、何かしら注意喚起をし…ワクチンや治療薬が世に出回り抗体が人々の体に宿る日が来るまで、いやその日が来たとしても、おそらく今まで通りには戻れないだろう。

だとしたら、我々音楽家も今までの自分たちのままでいられる環境を望んでばかりいるのではなく、新しい自分たちのあるべき姿を模索し始めるべきなのではないだろうか。

世代交代して自分たちが死に、次のその次の世代が活躍するような100年先の時代のことを言ってるのではない。いま我々が生きてる間に、それもすぐ先の未来にたどり着くべき近未来の音楽家の仕事を、今この納豆カレーをひっくり返されてる間に考えるべきなのだ!

足元ばかりを見ていないで顔を上げて、落ち着いて世の中を見渡してみれば、我々クラッシック音楽家というジャンルの生き物が手にした事がない様な要素がたくさんある。いや、手にした事がない要素ばかりかもしれない。師範代が今考えて実行しようとしてることだって、もう既に誰もが先にやってることである。だけど「そんなことしたところでどうなるよ?」と腕組みしてても埒は明かない。やってダメならまた考えりゃ良いのだ。

また別の機会に投稿しようと思うが、師範代がYouTubeで配信し始めたのもCOVID-19がきっかけだった。いまこんな動きをし始めたを怪訝な表情で見ている人もひょっとしたらいるかもしれない。だけど、師範代は今まで師範代の事を知ってたけど繋がれなかった人たちや、全く知らなかった人たちと見えないところでどんどん繋がって新しい世界を築いて行きたいと考えている。何のため?近未来の音楽家の仕事を模索するためである。

日々見えない敵と闘っている今、目に見えない人たちとたくさん手を繋げる時代はもうとっくに来てるのだ!

と、ここで誰にも読まれないことを良いことに、自分自信を奮い立たせるために投稿している師範代がいる。

 

ではまた!

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師範代への道 〜ジャッキーチェンと漫画と空手と谷村新司とわたし〜


【Stay-at-home!! 不要な外出は控えましょう!!】"Jeanie with the light brown hair" 金髪のジェニー by Tsuwamono Brass Quintet

 

4月。

人生の新しい門出を迎えた方々におかれましては本当に大変な船出となった事と思いますが、どうか気持ちをポジティブに!足元だけを見てると今の不幸な現状を悲観的に見てそこで悩み、足を止めてしまいがち。しかし目線を上げ不安ながらも先を見ようとすることで一歩進むことが出来、気づいたら少しだけ歩けている。先日補助輪を外したばかりの娘の自転車練習に付き合ってた時に娘の成長からそれを教わった気がした師範代でした。

 

人生とはホントわからないものである。

 

4月。

中学で吹奏楽と出会っていなければ今の師範代はいない訳で、それまでは音楽のおの字も知らないし興味すら無かった幼少時代。ジャッキーチェンの映画と漫画と空手に明け暮れていただけのただの肥満児だった。それまで聴いていた音楽は、尊敬していた担任の先生が大ファンだった谷村新司。みなさんは想像出来るだろうか、谷村新司やアリスを三角座りして聴いている太った小学生を。

空手の道場に一緒に通っていた同級生に誘われて付き合いで部活動見学に吹奏楽部の活動する音楽室へ行った時の事をいまだに思い出す。

今から考えるとそれほど大人数ではなく20人程のバンドを先生が指揮して、見学に来た我々1年生のために披露してくれた演奏を聴いた。パチパチパチとお礼の拍手をしながら、さして感銘を受けた訳でもなく、やっぱり運動部に入った方が面白そうか…と考えていると、隣でその友人が「俺もう決めてるねん。俺はサックス吹く。」と言う。「サックスてどれ?」と聴くとピカピカと光る格好良さげな楽器をちょっと大人びた雰囲気の女の先輩が吹いている姿を指して友人が教えてくれた。へぇ〜あれがサックスかぁ。その程度しか知らなかった。

…と友人が名前を呼ばれ、音楽準備室という部屋へ入って行った。ドアの隙間からさっきまで指揮をしていた顧問の先生が見え、そこでハタと気付く。もしやこの状況は既に見学では無く、入部の意思を問われる面談。一種の入部を前提とした訊問!マッハの速さで音楽室の黒板に目をやる。「ひ…日付…っ!」不覚にもその日は部活見学最終日、世に言う「正式入部」の日だったのだ。

僅かな時間と思うが、こんな時は永遠に匹敵する程長く感ずるものだ。ただ単に友人の部活見学に付き合ってやって来た音楽室。まさかそこで気づくとは…しかもドア一枚隔てた向こうでは顧問が手ぐすね引いて舌なめずりしながら師範代の入部を待ち構えているのだ。…いや、その当時は師範代ではない。音楽などこれっぽっちも興味を持たないジャッキーチェンと漫画と空手と谷村新司をこよなく愛するだけのただの肥満児だ!その肥満児が呆然と立ち尽くしているのだ。

次の瞬間、ドアが開き友人が出て来た。有無を言わさず次が師範代の番である!生唾を飲みドアを閉めたか閉めずかの時間で「あ、おまえテューバな!もう出てええよ。」と顧問が発し、判決は下った。部屋ら出て友人に尋ねた「ちゅ、ちゅば?かなんかって言われたんやけど、それなに?」ゆび指されたその先には、当時の師範代少年よりも更に大柄な女の先輩が大股広げて抱えていたベッコベコの鉄の塊が目に入り、そこからその日の記憶はない。

かくして音楽などこれっぽっちも興味の無いジャッキーチェンと漫画と空手と谷村新司をこよなく愛する肥満児、師範代少年のテューバとの日々が始まる。

 

人生とはホントわからないものである。

 

ではまた!

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師範代ブログ開設! 〜伝えることが生業なもので〜

それはまだSNSが今の様な大きな存在になる随分前の話。

夜な夜なひとり不定期ながらもブログを書いていた頃があったとさ…

 

あ、ども、

「おみしー師範代ッス!押忍!」

このフレーズ、昔を知ってる人はめっさ懐かしいはず(笑)

ただいま!的なね。

 

そうなんです。オケに入ってすぐに自分のホームページを作り、その後しばらくの間それと並行してブログをこそこそと書いてた時期がありました。

今でこそツイッターフェイスブックで毎日何回も投稿してるのと同じ様な、写真を添えただけのただの絵日記的な内容でしたが、その頃は師範代まだ一人身だったので、やれ今日はどこどこでナニ食っただの、誰とジム行って何キロ持ち上げただの、と言ったたわいも無い「それ誰が興味あんねん?」的な内容のブログだったのですが、これやっぱり性分なんでしょうね。

やっぱり伝えたいんだ!って最近改めて気づいた。

 

なので衝動に駆られてる気持ちが熱い間にブログ開設してみました。

今度はいつまで続くのか、誰かに読んで貰えるのか、てゆーかそもそも誰か興味あるのかどうかわかりませんが、とにかく鉄は熱いうちに打て!

音は響いてるうちにリリース!

は?

まぁ他で利用しているSNSよりも少し踏み込んだ内っ側の熱い部分を書いたり、文字数のこと考えてイライラしないで色んな情報を届けられればと思ってます。

今は!ネ(笑)

まぁ一発目からガッツリ書いてもアレなんで、今日はこの辺でナニしときます。

 

あ、でも今はホントこれだけは伝えたい!

#StayAtHome

 

師範代も出来るだけみなさんに外へ出歩かずに自宅で笑って過ごしてもらいたい一心でYouTubeに動画をアップし続けています。

良ければのぞいてやって下さい!

師範代チャンネル!

www.youtube.com是非、チャンネル登録もよろしくお願いします!

 

イヤでもホント、大変な時代がやって来てますが、とにかくみなさんお家で頑張りましょう!

師範代もついています!

あなたの命を守るために、そしてあなたの大切な人の命を守るために。

#StayAtHome

#おうち時間

 

ではまた!