ポジティブスパイラル!

大阪交響楽団テューバ奏者、潮見裕章のブログです!

フィリップ・スパークという作曲家

吹奏楽ブラスバンドの両方で大ヒット!

フィリップ・スパークPhilip Sparke 1951~)というイギリスの作曲家がいる。

日本では吹奏楽の作曲家として誰もが聞いた事がある名前であり、指揮者としても日本のプロやアマチュアの楽団の演奏会で何度も客演指揮をつとめている。

 

ドラゴンの年、宇宙の音楽、オリエント急行、ジュビリー序曲、ハイランド讃歌組曲などなど、吹奏楽でも代表的な作品をざっと挙げると演奏会のレパートリーやコンクールの自由曲などでお馴染みの名前がまだまだ出て来る。

 

しかし、これらの作品は全て吹奏楽編成のために作曲されたものではない。

吹奏楽の作品として有名なスパーク氏のこれらの作品たちは、実は前回の投稿で書かせて頂きました英国式金管バンドのための作品として作曲され、後に作曲家自身の手により吹奏楽用に編曲されたものなのです。

 

もちろん、ウィークエンド イン ニューヨークの様に最初から吹奏楽編成のために作曲された作品も数多く存在するのですが、同じ作品がブラスバンドでも吹奏楽でも数多く演奏されているという事はやはり彼の作品の持つ魅力にその理由があるのでしょう。

 

吹奏楽からブラスバンドへ!

彼の吹奏楽作品で「The Unknown Journey(知られざる旅)」というとても興味深い作品があります。

 

この作品は2014年に日本の関西学院大学吹奏楽部の委嘱で吹奏楽作品として作曲されたのですが、これまで紹介したものとは逆の経路を辿り、2016年にCory bandのヨーロピアンチャンピオンシップの自由曲のためにブラスバンド作品に編曲され「Raveling, Unraveling - In search of 'La Valse'(ラヴェリング,

 アンラヴェリング - イン サーチ オブ 'ラ ヴァルス')」と曲名も変更して新しく生まれ変わりました。

 

この2つの作品はフランスの作曲家モーリス・ラヴェルの作品「ラ ヴァルス」のモチーフとそれを変容したものが用いられた同じ部分を持つ作品なんですが、面白いのがそのまま書き移されただけではなく、内容が少し変更されて吹奏楽版では無かった部分がブラスバンド版には加えられ(ブラスバンド版に無い部分も吹奏楽版にある)、11分程の演奏時間だったものが17分の長さを要する作品に華麗に変身しています。

 

ちなみに師範代は、変更が加えられてラヴェルが強くなって生まれ変わったブラスバンド版「Raveling, Unraveling」の方が好きです!

是非そんな豆知識を頭に置いて聴いてもらえるとまた違った面白さや発見があるでしょう。

 

吹奏楽版:The Unknown Journey


The Unknown Journey - Philip Sparke | Bläserphilharmonie Aachen

 

ブラスバンド版:Raveling, Unraveling - In search of 'La Valse'


Manger Musikklag - Raveling, Unraveling [Philip Sparke] - NM 2018

 

陽はまた昇る

というタイトルの彼の吹奏楽作品があります。

この作品は私たち日本人にとって忘れることの出来ない2011年3月11日におこった東日本大震災復興支援のために出版され、スパーク氏の意向で作品の印税はすべて日本赤十字社に寄付されています。

 

既にブラスバンドのために作曲されていた作品「カンティレーナ」を吹奏楽の作品として編曲し、吹奏楽が盛んな日本を彼の作品で応援すべく「陽はまた昇る」というタイトルの作品として広く親しまれ、今も世界中で演奏され続けています。

本当に美しく溢れる生命力を感じる作品です!

 

フィリップ・スパーク指揮/シエナウインドオーケストラ:陽はまた昇る


陽はまた昇る The Sun Will Rise Again / Philip Sparke

 

陽はまた昇るの元になったブラスバンド版:カンティレーナ


フィリップ・スパーク/カンティレーナ(陽はまた昇る)

 

こうやって吹奏楽ブラスバンド作曲家という関係性を結びつけて作品や作曲家について理解していくということは非常に面白い。

この様にして沢山の人に色んな音楽に親しんでもらいたいと願う師範代でありました。

みなさん外出を自粛しているこの時期に是非自宅でこういった音楽の楽しみ方をしてみて下さい!

 

あ、そうそう。

実はスパーク氏作曲のテューバ協奏曲も存在します。

テューバの音色やテクニックを駆使して幅広い音楽表現を求められる作品です。

 

この作品はテューバ奏者でもありミラフォン(師範代も愛用する楽器メーカー)の前CEOマルカス・タイネルト氏の委嘱により作曲されました。

本当に美しい曲なので是非聴いてみて下さい!

 

で、自分の演奏聴かせるんか〜い!(笑)


Tuba Concerto / composed by Philip Sparke

 

という訳で、今回は初めて一人の作曲家の作品にフォーカスしてブログを書いてみましたが、安定の2000文字オーバー(笑)

 

もうちょっとサラサラっとお茶漬けの様に読める投稿にしたいもんですね。

出来るだけ継続して毎日投稿したいのでもう少しあっさりいこ(笑)

 

#StayAtHome

#おうち時間

不要な外出は控えて自宅で音楽を楽しみましょう!

ぱちんこは我慢してね〜

 

 

ではまた!

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