自粛は続くよいつまでも 〜オンラインレッスンを考える〜
オンラインレッスンを考える
他ジャンルからは多少出遅れた感がありながらも、我々音楽家たちもインターネットを利用したリモートワークやオンラインレッスンを多用する様になって来た。
例に漏れず師範代にも教鞭をとる2つの大学からの要請を受け、個人的に色々とテスト期間を経て、オンラインレッスンを開始する準備を進めている。
それと共に、今まで凍結していた個人レッスンの生徒たちのレッスンも再開を目指して、テストを繰り返す日々であります。
しかし、オンラインレッスンを通常の対面式のレッスンの様にスムーズに実施することは非常に難しい。
てゆーか、スムーズになんて「無理」だ!
と世の中の先生方は心の中で叫んでいらっしゃることでしょう。
わかります、よーくわかります。
ご存知の様に、今でこそラインやスカイプやフェイスタイムといったビデオ通話アプリの発展で、会話する上ではタイムラグによる通話上のストレスをそれほど感じなくなって来ている。
加えて、最近ではZOOMの様なグループ通話にフォーカスしたアプリも開発が進み、企業の会議やちょっとしたグループミーティング、またオンライン飲み会などにも使用されるなどして話題になっている。
しかしこれは会話という特性を活かした機能にフォーカスしているから気にならないだけであって、互いに楽器を演奏して互いの音を確認し合う…といった使い方のために開発されている訳ではないのだ。
我々器楽奏者がオンラインレッスンをする上で困難な点を挙げると
・タイムラグがあるため一緒に演奏する事が困難
・互いのインターネット環境によって通話の質にばらつきが生じる
・生徒が演奏している最中にアドバイスを挟みにくい
・指使いやアンブシュア等、目視での確認が困難
などなど、挙げれば本当にきりが無いです。
テューバのレッスンの場合はそこに以下の様な問題も加わってくる
・演奏出来る環境を確保する事が困難
・音量の問題でスマホのマイクが勝手にレベルをコントロールしてしまう
・上記を解決するための外部入力マイクの必要性
などなど、考えれば考えるほどネガティブになる要素ばかりです…
しかしながらそんな環境の中でも生徒たちの事を考えると歩みを止める訳にはいかないのであります。
そんな訳で、この春に大学を卒業してフリーランスとして頑張っている生徒や、アマチュア奏者として活動してる生徒たちに協力してもらったりしながら、色々とテストをした印象なんかを軽くここに挙げておきたいと思います。
同じような事で困っていらっしゃる誰かの役に立ててもらえれば幸いです。
アプリケーション
こういった事を専門に勉強したり扱ってる訳ではないので、あくまでも個人的な感想の域を超えませんが、いくつかのアプリケーションでテューバを使用してレッスンする事を前提としてテストしてみました。
使用頻度
LINE>FaceTime>FaceBookMessenger>Skype>ZOOM
最近一気に普及したZOOMを頻繁に使ってる方も多いと思いますが、学生たちの使用頻度としてはまだそこまで広く使われてはいない状況でした。
大学がZOOMやSkypeでレッスンを受ける事を推奨しているので、インストールはしているけどそれ以外ではそこまで使う機会はない様です。
音質や画質に関して
FaceTime>Skype>ZOOM>LINE>FaceBookMessenger
これはぶっちゃけ使用時のインターネット環境に依存する部分が多いと思うんですが、こちら側と向こう側のインターネット環境は固定の中で全て試してみた結果、このような順番に感じました。
ただ、コロナの影響でこんな状況になってからこういったアプリの開発元も改善に尽力されていると思うので順番は日毎に良くなって行くのではないかと思っています。
レッスンで使用するなら
音質画質ともに好印象なFaceTimeはアップルユーザーであればデフォルトでインストールされているけど、アンドロイドユーザーには使えないというデメリットがあるが、個人レッスンで使用する場合は各生徒の状況によって使用するアプリを変えれば良い。
例えばレッスンで使うアプリを固定して連絡先などをそこで管理したい場合はSkypeやZOOMが良いのかもしれません。
LINEのビデオ通話も以前に比べると心なしか良くなってる様にも感じます。
でもこれらの印象はあくまでインターネット環境や受け取る側の環境にもよると思うので個人的感想として止めておいて下さいね。
ZOOM
大学が推奨するZOOMは講義などの様に複数を相手に一方からの情報発信としては適していると思うけど、レッスンで対話形式の様に使用する場合は複数名が同時に声や音を発した時にやはり遅延や音の混乱が生じてしまいます。
なので受ける側がマイクをオフにして講義を聞く使い方をする場合は◎です!
個人レッスンでも聴講したりする人がいる場合には最適でしょう。
だから大学が推奨するんでしょうね。
しかも有料登録すれば通話内容をレコーディングして映像と一緒に残すことが可能です。
このZOOMはグループレッスンなどではある程度活用出来ると思います。
師範代が開催している「みちみち道場」の道場生たちと、先日マウスピースのバスィングのみでオンライン道場をやってみたのですが、こちらで鳴らしてるメトロノームの音と、師範代の音は各自にしっかり認識出来ていて、それに続いて演奏する事も可能でした。
しかし、受ける側のマイクをオンにしていると、師範代の所ではテンポ60で1拍ぶんほど遅れてみんなの音が返って来るので、受ける側のマイクをオフにする事によっていつもの道場形式のロングトーンなどは可能だと認識しました。
ただその場合、師範代の方に生徒の音が聴こえない状態になってしまうので、それに対してのアドバイスも出来ず、垂れ流しレッスン的になってしまうのですが、質問タイムなどを後で儲けてその時に話す人のみマイクをオンにするなどの工夫が出来ればある程度は成り立つと思います。
悲しいかなレッスンで使用する際には現段階では同時に話したり演奏したりした時に、実際の様に両方聴こえる状態をクリアに作り出す事はまだ実現出来ていないと思います。
ひょっとすると次世代の5G導入などでそういった事もストレスが軽減されたりするのかもしれませんが(←なにも知らないのでそういう事を希望してるだけですが)今の段階でそれははのぞめません。
個人的な解決法
現段階での個人的にこれから進めるオンラインレッスンでは以下の様な設定を各生徒別に試しながら実施して行こうと考えています。
・外部入力マイクの使用
スマホのマイクだとやはりテューバの音は勝手にレンジの調整をされてしまうので、外部入力のマイクを使ってそれを軽減させる必要があると思います。しかし、マイクとアプリケーションの相性もある様で認識しない組み合わせもあるので、それを探しながら…。
で、こないだやってみて驚いたんですが、アップル純正のイヤホン(マイク付き)が意外と使えるんです。
もちろん音質はそれほど良くないし、周りのノイズも拾っちゃうんですが、レンジが落ち込まない状態で吹くことが出来てたのでまたこの組み合わせで色々やってみたいと思います。
この組み合わせなら生徒の費用的な負担も少ないので、またテストしてレポートしますね!
・ターン方式(リアルタイム)
通常のレッスンの様に対面式で出来るにこした事はありませんが、リアルタイムでそれをするためには同時に発言(発音)する事を避けながら進める事でスムーズなレッスンが可能になる。
互いに画面が目に入る位置にいれば、生徒が演奏中でも止めてアドバイスしたい時は言葉ではなく手を挙げる等して演奏を止めてアドバイスすることも可能。
対面式でレッスンする場合はこれを生徒との間で約束していれば割とスムーズな気がします。
・録音送信&アドバイス方式(要時間)
時間はかかりますが、このパターンが一番確実だと思います。
生徒が自分の演奏を録音して先にこちらに送信。
それをこちらが聴いてチェックしておいて、時間を決めてビデオ通話でアドバイスする。
レッスンまでの間に時間がかかってしまうのが難点ですが、こちらが音出し出来る環境であればその場でデモンストレーションも可能だし、生徒が録音するのも自分の都合の良いタイミングで録音すれば良い。
通話してる時間自体は少なくて済むので通信費用の節約をしなければならない場合には◎です。
タイムラグでストレスを受ける事もなくスムーズにレッスンが成り立ちます。
…ちょっと寂しい気もしますけどね。
この様な感じでしばらくの間はまたテストを続けてやってみようと思っています。
続けていけばもっと色んなスタイルを模索出来ると思います。
おそらく収束するまでこの状態はまだまだ続くことでしょう。
こんな面倒くさいこと無理!
と何もしないでいるよりは本当に色々実戦で試して行って改良して自分なりのスタンスをそれぞれに見出せれば良いのかなと師範代は思っています。
また色々発見があるたびにこのブログを使ってまとめて行こうと考えてます。
どれだけの人が目を通してくれてるかわかりませんが、誰かのお役に立てれば師範代にとってはそれが一番嬉しいことです!
同業者の方で悩んでいる方がいらっしゃいましたら師範代と一緒にポジティブに考えてこの状況を良いものに変えていきましょう!
という訳でまだまだ我々音楽家にとっても大変な日々が続きますが、みなさんポジティブスパイラルでハッピーホルモンを分泌しながらお過ごし下さい!
ではまた!