ポジティブスパイラル!

大阪交響楽団テューバ奏者、潮見裕章のブログです!

師範代への道 〜ジャッキーチェンと漫画と空手と谷村新司とわたし〜


【Stay-at-home!! 不要な外出は控えましょう!!】"Jeanie with the light brown hair" 金髪のジェニー by Tsuwamono Brass Quintet

 

4月。

人生の新しい門出を迎えた方々におかれましては本当に大変な船出となった事と思いますが、どうか気持ちをポジティブに!足元だけを見てると今の不幸な現状を悲観的に見てそこで悩み、足を止めてしまいがち。しかし目線を上げ不安ながらも先を見ようとすることで一歩進むことが出来、気づいたら少しだけ歩けている。先日補助輪を外したばかりの娘の自転車練習に付き合ってた時に娘の成長からそれを教わった気がした師範代でした。

 

人生とはホントわからないものである。

 

4月。

中学で吹奏楽と出会っていなければ今の師範代はいない訳で、それまでは音楽のおの字も知らないし興味すら無かった幼少時代。ジャッキーチェンの映画と漫画と空手に明け暮れていただけのただの肥満児だった。それまで聴いていた音楽は、尊敬していた担任の先生が大ファンだった谷村新司。みなさんは想像出来るだろうか、谷村新司やアリスを三角座りして聴いている太った小学生を。

空手の道場に一緒に通っていた同級生に誘われて付き合いで部活動見学に吹奏楽部の活動する音楽室へ行った時の事をいまだに思い出す。

今から考えるとそれほど大人数ではなく20人程のバンドを先生が指揮して、見学に来た我々1年生のために披露してくれた演奏を聴いた。パチパチパチとお礼の拍手をしながら、さして感銘を受けた訳でもなく、やっぱり運動部に入った方が面白そうか…と考えていると、隣でその友人が「俺もう決めてるねん。俺はサックス吹く。」と言う。「サックスてどれ?」と聴くとピカピカと光る格好良さげな楽器をちょっと大人びた雰囲気の女の先輩が吹いている姿を指して友人が教えてくれた。へぇ〜あれがサックスかぁ。その程度しか知らなかった。

…と友人が名前を呼ばれ、音楽準備室という部屋へ入って行った。ドアの隙間からさっきまで指揮をしていた顧問の先生が見え、そこでハタと気付く。もしやこの状況は既に見学では無く、入部の意思を問われる面談。一種の入部を前提とした訊問!マッハの速さで音楽室の黒板に目をやる。「ひ…日付…っ!」不覚にもその日は部活見学最終日、世に言う「正式入部」の日だったのだ。

僅かな時間と思うが、こんな時は永遠に匹敵する程長く感ずるものだ。ただ単に友人の部活見学に付き合ってやって来た音楽室。まさかそこで気づくとは…しかもドア一枚隔てた向こうでは顧問が手ぐすね引いて舌なめずりしながら師範代の入部を待ち構えているのだ。…いや、その当時は師範代ではない。音楽などこれっぽっちも興味を持たないジャッキーチェンと漫画と空手と谷村新司をこよなく愛するだけのただの肥満児だ!その肥満児が呆然と立ち尽くしているのだ。

次の瞬間、ドアが開き友人が出て来た。有無を言わさず次が師範代の番である!生唾を飲みドアを閉めたか閉めずかの時間で「あ、おまえテューバな!もう出てええよ。」と顧問が発し、判決は下った。部屋ら出て友人に尋ねた「ちゅ、ちゅば?かなんかって言われたんやけど、それなに?」ゆび指されたその先には、当時の師範代少年よりも更に大柄な女の先輩が大股広げて抱えていたベッコベコの鉄の塊が目に入り、そこからその日の記憶はない。

かくして音楽などこれっぽっちも興味の無いジャッキーチェンと漫画と空手と谷村新司をこよなく愛する肥満児、師範代少年のテューバとの日々が始まる。

 

人生とはホントわからないものである。

 

ではまた!

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